連載コラム コラム一覧へ移動 耐震診断とは(5)
〜1次診断・2次診断・3次診断とは?〜

前回のコラムでは、私たちジャストの営業所で行った耐震診断と耐震改修の実施例をご紹介しましたが、耐震診断の内容についてはかなり省略してしまったので、少し分かりにくかったかもしれません。そこで今回は改めて、「耐震診断とは、どのような基準に基づいて、どのように進めるのか」ご紹介しましょう。

まず耐震診断の方法としては、建物の用途や種類に応じて数種の指針が定められています。例えば災害時に防災拠点の役割を担う官公庁施設は、国土交通省が制定した「官庁施設の総合耐震診断基準」を用いていますし、文部科学省では「公立学校施設に係る大規模地震対策関係法令」に基づき、公立学校施設の耐震性能に関する独自の診断基準を規定しています。

しかしこうした特殊なケースを除き、マンション・ビルなどの一般的な建物の場合は、国土交通省が監修し、(財)日本建築防災協会が発行する「既存(鉄骨)鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準 同解説」という指針に基づき、診断を行うのが一般的です。もちろん私たちジャストも、上記のようなレアケースを除き、この耐震診断基準に準拠した診断を行っています。

この「既存(鉄骨)鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準」には、1次診断法、2次診断法、3次診断法という3つの診断法があります。このうち1次診断法は、壁量が多い建物を簡易的に評価することを目的に考案された手法で、耐震性能は柱と壁の断面積とコンクリート強度から求めます。

2次診断法は、柱・壁の強度と靱性(じん性=ねばり強さ。一旦壊れかけても急激に耐力を失わない性質)を考慮して耐震性能を算出する方法です。また3次診断法は、柱や壁に加え、梁の強度も考慮して耐震性能を算出する方法です。

このように1次診断〜3次診断とは「三次にわたって行う診断方法」ではなく、「診断の精度が異なる、それぞれ別の診断方法」です。従って、建物の形状や構造特性、劣化度合いなどを考慮のうえ、1次〜3次のいずれかを選択します。いずれの場合も、調査結果や図面情報を診断ソフトに入力し、十分な耐震性能を備えているかどうか計算します。そしてその結果「耐震性に疑問あり」と診断された場合は、補強案の作成、もしくは建て替えを検討します。

では1次〜3次のどれを選べばよいかですが、前述の「耐震診断基準」に準拠した診断を行っている調査機関であれば、1次〜3次の本診断に進む前には、必ず予備調査(現地の目視調査、設計図書の確認など)を実施し、この結果を踏まえて最適な診断レベルを提案してくれるはずです。もちろん診断にかかるコストや時間、診断次数に応じた調査内容なども併せて提示されるはずですので、これらを参考にして、希望する診断レベルを選択してください。もし納得のいく説明が得られない場合は、同業他社や専門知識を持つ第三者にセカンドオピニオンを求めてもよいでしょう。

非破壊検査とは(1)
〜非破壊検査による
建物調査のメリットは?〜

「非破壊検査」とは、素材・部品・構造物などの検査対象物を物理的に破壊することなく、内部の欠陥や表面の傷などを検出する検査方法のことをいいます。1925年頃、アメリカの火力発電所で使用される鋳造品に用いられたのが非破壊検査の最初とされており(『溶接ニュース』05年4月12日号より)、日本でも戦後、産業の発達とともに急速に普及。工業分野はもとより建築土木分野でも欠かせない技術となりました。

私たちジャストも、1972年、建築鉄骨溶接部の超音波検査を主目的に創業し、1985年には既存建築物を対象に、エックス線を用いたコンクリート内探査や設備配管劣化調査を開始。他社に先駈けて非破壊検査技術の導入を積極的に進め、この分野ではパイオニア的役割を果たしてきたと自負しています。

では、こうした非破壊検査技術を建物調査に用いることには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

まず当然ながら、外観を肉眼で調べるだけの目視調査に比べ、調査の精度が格段に高まります。その結果、建物の状態をより正確に把握でき、耐震補強や補修を行ったり、長期修繕計画を策定したりする際にも、より実態に則した内容とすることが可能になります。
少子高齢化や不況の影響で、補強も修繕もままならないマンション・ビルも多いといわれるなか、建物の実態に見合ったコストパフォーマンスの高い維持管理を行うためには、非破壊検査は極めて有効な手段といえるでしょう。

また、建物内部の「隠れた欠陥」が発見しやすいのも非破壊検査の大きな特徴です。近年、欠陥住宅・欠陥マンションが大きな社会問題となっていますが、ほとんどの瑕疵や施工不良は建物内部に潜んでいるため、通常の目視調査だけでは発見できないケースが大半です。そしてこれらの欠陥が具体的な不具合となって表面化するまでには時間がかかるため、欠陥が判明したときには、既に瑕疵担保責任の保証期間が過ぎていた、ということにもなりかねません。
しかし非破壊検査なら、建物を損傷することなく内部の様子が確認できるため、隠れた欠陥も早期に発見できる確率が高まるのです。

大地震への懸念やストック重視の風潮を背景に、日本でもようやく建物調査の重要性が認識されるようになってきましたが、この建物調査を日本社会にしっかり根付かせるには、調査自体が精度の高いものであることが絶対必要です。そして非破壊検査こそ、高精度の調査を実現するための最も重要なカギになると、私たちジャストは考えています。

コラム一覧
第三者検査とは(1) 第三者検査とは(2) 耐震診断とは(1) 耐震診断とは(2)
建物調査耐震診断とは(3)耐震診断とは(4)非破壊検査とは(1)
耐震診断とは(5)

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