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ジャストコラム

「たかが設備や、だから設備や!!」

仕事が楽しく、なんでもやってやろう。いろんなことを聞いて、見て、覚えたいそんな時代に、客先への口癖は、右腕で胸をひとつ叩いて「まかせてください!!」。
それは、ある異業種から電気設備の緊急対応呼出で出向いた現場担当者から言われた「なんだ、〇〇設備や がきたのかよ、ほんとに何とかできるのか。」が始まりだった。

◆ ハプニング その1  3.11・東日本大震災(2011年-平成23年)
客先ビル会議室で3社によるプレゼンが終了し、近くでメンバーと休憩の時に”地震だ、大きいぞ!” 。道路に飛び出すと、並木や高層ビルの横揺れが間近に見られ、先程までプレゼンをしていたビルの上階外壁面から放物線的な勢いの散水が見られた。
会社への連絡やその状況にひとまず安堵し、メンバーとの相談から客先ビルに駆けつけた。
当該ビル(地下1階・地上14階、延床面積≒16,500㎡、複合用途ビル)は、設備常駐者が不在で、現地職員の誘導から11階の天井裏スプリンクラー消火配管からの漏水(損傷)が確認できた。漏水停止を目標とし、メンバーも設備関係精通者が揃っていたことが功を奏し、地下階のスプリンクラー消火ポンプ停止や揚水ポンプの運転状況、現在の警報表示盤発報状態の確認、屋上消火水槽や高置水槽の吐出側配管バルブ、11階スプリンクラーアラーム弁の閉止などを手分けして迅速に実施することができ、外壁面散水や屋内東側階段の地下階まで流出していた水量も微量となったことから、復旧手順を説明して帰社した。
翌週にその客先から「プレゼン内容や金額を含め、業務は御社に発注したい。依頼とお礼方々、そちらに出向かせていただきたい。」の連絡を受け、プレゼンはメーカー関連会社が本命と言われていたので最高の一報となった。

◆ ハプニング その2  某百貨店
現場は横浜駅近隣の某百貨店4階消防設備改修工事でのスプリンクラー消火設備の最終工程で水張り復旧作業時の連絡不備(スプリンクラー消火ポンプ誤起動)から漏水が発生し、建物のEXP・J(エキスパンジョイント)が近かったこともあり、地下1階まで漏水してしまった。1階の高級店(〇〇ヴィトン他)への漏水や地下1階共用通路出入口設置の入出客数検出センサー機器などが不動作となり、仮復旧には協力業者の応援を含め延べ80人以上で丸2昼夜もかかってしまった。
また、各階の数店舗は開店時間が半日以上遅れ、漏水商品の廃棄、再陳列などから営業・物品補償が発生し、高額な保険見積額となってしまった。
今では、笑い話しになるが、客先担当責任者から「直営店舗はこちらで対応処理する。出店先の状況確認や挨拶に出向くところは同行するので声をかけて。」にお礼をいい、高級店の挨拶では、靴やバック、衣類、床全面貼りジュータンに被害がおよび、陳列商品にはチョッとの漏水飛散による廃棄商品が多く見られたことから、社内配布にでも、と「廃棄商品は引き取らせていただきたい。」と、提案したところ「このような商品は、社内規定から適正に処理させていただきます。」から、高級メーカー品のドサクサ的な受領は断念した。後日、廃棄商品すべての細断前後の写真と資料一覧が届き、メーカーの「適正な処理」に驚いた。

3.11の被災応援は、おつき合いのある客先からの「今後もあるから、今度のプレゼンに参加してみないか。」という申し出があり、プレゼンに合わせ、客先ビルの見学や設備系統図、設備設置位置などの状況を把握していたことも幸いしたが、人間関係やその構築の大切さ、普段のおつき合いの仕方や仕事に対する構え方とその見せ方・見られ方、仲間とのコミュニケーションの大切さなどが学べた。
3.11の夜は、自宅まで徒歩で2ヶ所立ち寄り休憩しながら帰宅した情景は、今も記憶に新しい。

某百貨店の事故では、客先との日頃のおつき合いの継続的な仕方やその大切さを本当に強く感じ、作業手順や最終確認までは気を抜いてはいけない。協力業者への依頼業務を把握することや客先との距離、職場での自分の立ち位置などを賠償保険総額にため息をつきながら学んだ。

「ハプニング」は、どちらもスプリンクラー消火設備の出来事だったが、スプリンクラー消火ポンプやヘッドの放水性能は、ポンプの能力やヘッドの型式にもよるが、運転時の放水量は、先端の放水圧力が 0.1 MPa 以上 1 MPa 以下で 50 L ~ 1,350 L/min の大量の水が 放水される。
設備に関係する者として、建物ごとに異なる設備の緊急時にも応急対応ができ、系統図を 含む図面の読み込み方や仮対処・復旧シミュレーション、設備勉強・見学会、講習・講演会などで設備知識の積み重ねができていることが、建築設備の調査や検査にも反映され、緊急対応や復旧後などでは大きな達成感や満足感が得られ、各種設備システム修得の際には設備の楽しさがわかって頂けることと思う。

話しは変わるが、設備関係者の呼び方に「電気や」「空調や」「機械や」「設備や」「技術や」などがあるようで、末尾は「や」「屋」が使われることが多い。個人的には「技術や」と呼ばれることがうれしいのだが、少し重く感じられることがあり、その重さに充分耐えられる「設備の技術や」になろうと、以前は「目的をもって」を入れた3M(さん—もって)をモットーのひとつとしていたが、今は、楽しみながら「目標をもって」、「夢をもって」の2Mで過ごしている。

 

RM部 小川 輝夫