溶接部の検査に関する問合せ
- 鉄骨溶接部の検査項目には何がありますか?
- 鉄骨溶接部の検査では、目視による外観検査と超音波探傷検査を行います。
外観検査では、割れ、食違い、目違い、アンダーカットがないもしくは許容値以内であるか否かを確認します。
超音波探傷検査では、内部欠陥がないことを確認します。
- 溶接部の検査は施工のどの段階で実施しますか?
- 検査時期は、過去に溶接部の超音波探傷検査に関する建築学会規準で溶接完了後24時間以上経過してからの検査が記載されていました。溶接後の遅れ割れの発生を考慮しているためです。
しかし、鋼材・溶接材料が改善され、溶接金属組織の硬化や溶接金属中の拡散性水素が少なくなり、最近の溶接では遅れ割れがほとんど発生しないため、現在の建築学会規準には、そのような規定はなく、溶接部が常温以下になった時点で検査をおこなっても問題ありません。
- 溶接部の1日の検査数量はどのくらいですか?
- 溶接部の検査では、外観検査および超音波探傷検査が行われます。実際の検査工程は、前準備(装置の調整)、サンプリング(抜取箇所をマーキングする等)、前処理(スラグ・スパッタ等の除去)、検査員による検査(外観検査・超音波探傷検査)、検査結果の記録からなります。このすべての工程を1人で作業し、前処理の作業に手間がかかり(スラグ・スパッタがかなり残っている)、ある程度欠陥(合否にかかわらず)があり探傷作業に時間がかかるような場合を想定して、1日80箇所程度と言われています。
- OC曲線、AOQ曲線、AOQLとは何ですか?
- OC曲線、AOQ曲線、AOQLとは抜取検査に関連する用語です。
簡単に言いますと、OC曲線はある抜取検査法を適用した場合、製品の品質(工程平均不良率)と合格する確率を表すグラフです。
AOQ曲線とは、製品の品質と抜取検査を経た後の検査完了分の品質を表すグラフです。
AOQLは、AOQ曲線で抜取検査を経た後の検査完了分の品質が悪い(不良率が高い)場合の数値を表します。
ただし、これらは確率論的に導き出される数値で、実際の検査ではこれ等の数値から外れることもありますが、多くのロットの検査を実施するとこのような数値に収束します。
- 検査率はどうやって決めますか?
- 通常、検査率は設計図書の特記仕様に記載されています。
検査率が明記されていない場合には、設計監理者が決定します。
検査率を決める根拠は、Jass6もしくは共通仕様書が多いようです。
- 溶接前検査、溶接中検査は必要なのですか?
- 鉄骨溶接部の検査では、多くの場合、溶接完了後に外観検査と超音波探傷検査を行い、品質を確認し、これらの検査を溶接後検査ということがあります。
これに対し、溶接施工前や溶接施工中の作業を適宜検査することによって、不良の発生要因がないことを確認するのが溶接前検査、溶接中検査です。
溶接前検査、溶接中検査を行うと、製作要領書・溶接施工要領書に記載されている方法と実際の作業と差異がないか、自主管理が適正に行われているかを確認することが出来ます。