外装ガラス強度調査

 
 
 

外装ガラス強度調査

近年、外装材としてガラスを多用した高層ビルが増加していることを受け、ガラスの破損や落下事故への懸念が広がっています。こうした事故を未然に防ぐためには、個々のガラスが使用場所に応じた強度を保有しているかどうかを把握する「外装ガラス強度調査」が不可欠です。私たちジャストは、第三者検査機関として長年培ってきた調査技術を生かし、高層ビル外装ガラスの安全性確保をお手伝いしています。

高層ビルとガラス

ひと昔前の高層ビルでは、外装ガラスは明かり取りを目的とした比較的小さなガラスが使用されていましたが、ガラスの断熱性・強度・耐火性能の向上や、室内環境への配慮などから、最近の高層ビルでは広範囲に、かつ大判のガラスが採用されることが多くなっています。外壁パネルやタイル、PCなどと同様に、ガラスが高層ビルの外装材・壁材として活用されるようになってきたと言ってもいいでしょう。
しかし、もし高層ビルのガラスが歩行者の頭上に落下してしまったら、目を覆いたくなるような悲惨な状況となるのは確かです。実際、2005年3月の福岡西方沖地震の際には、440枚のガラスが割れて歩行者が負傷する2次災害も発生し、「非構造部材である窓ガラス耐震対策」への関心を高めるきっかけにもなりました。
また、原因ははっきりと解明されてはいませんが、地震や故意の破壊がないのにガラスが自然に破壊(自爆といいます)したという例も報告されており、なかには完成間もない建物でこうした事故が起きているケースもあります。

倍強度ガラスの登場

高層ビルの外装材としてガラスを使用する場合、風圧を強く受けたり、太陽の放射熱の影響を受けたりする場所には、強度の高いガラスが配置されます。しかし高強度ガラスは、破壊時の破片が小さいため、「割れたらすぐ落下してしまう」という弱点があります。
こうしたことから注目されているのが、ある程度の強度を有し、破壊後の性状にも優れた「倍強度ガラス」です。強度は一般的なフロートガラスの約2倍。強化ガラスに比べると強度は低いものの、破壊時の破片が大きく、サッシ枠にはまったまま、すぐには落下しないという特長があります。このためJISの建築用安全ガラスとして規格化されており、特に落下事故が懸念される高層ビルでの利用が広がっています。

強度調査の必要性

一般にガラスの強度は、急冷処理によってガラス表面に作り込まれる表面応力(圧縮応力)の強さによって決まります。高層ビルのような大規模な建物では、上記の倍強度ガラスのほか、一般的なフロートガラスや強化ガラスなど、さまざまな強度のガラスが使用場所に応じて配置されています。万一、決められた場所に決められた強度のガラスが使用されていないと、破損などの不具合が起こる可能性があり、最悪の場合、落下事故につながりかねません。
そこで必要となるのが、個々のガラスが使用場所に適した強度を保有しているかどうかをチェックする「外装ガラス強度調査(ガラス表面応力測定)」です。私たちジャストは、第三者検査機関として長年培ってきた検査技術・建物調査技術・品質管理技術を生かし、安全かつスピーディで高品質なガラス強度調査を実施します。

ジャストなら……

  • 既存ビルの場合は、入居しているテナント様にご迷惑をかけないように、清掃用ゴンドラなどを使用して、建物外側から安全・スピーディに表面応力測定を実施。第三者の立場で公正な調査結果をご報告します。
  • 新築ビルの建設現場では、ガラスの第三者受け入れ検査として、表面応力測定を実施し、公正な調査結果をご報告します。

測定機器

ガラスには、応力が働いている面を振動する光成分と、それに直角な面に振動する光成分の速度が異なるという性質があります。これを「光弾性効果」といいます。
現在、この光弾性効果を利用したガラス応力測定器は数種ありますが、ジャストでは「バビネ型ガラス表面応力計」という測定器を保有しています。このバビネ型は、従来からある屈折計型より感度が高いのが最大のメリット。ジャストでは、ビルに実装されているガラスにも適応できるよう、吸盤とモニターを装備した改造新型を用い、安全で高精度の測定を実現しています。
バビネ型ガラス表面応力計
バビネ型ガラス表面応力計
既存ビルでの測定風景。吸盤で測定をガラスに固定することで安全な作業を実現。またモニター付のため、作業姿勢に制限されることなく精度の高い応力測定ができる
既存ビルでの測定風景。吸盤で測定をガラスに固定することで安全な作業を実現。またモニター付のため、作業姿勢に制限されることなく精度の高い応力測定ができる
 

測定結果

応力測定は、モニターに映し出される光弾性効果による干渉縞を観察して行います。実際に映し出される干渉縞は、<A>から<C>の写真のように、明と暗の筋が交互に見えます。この縞模様の傾きを測定し、その傾き角度を表面応力値に換算します。
<A>の写真に映っている干渉縞は、かなり右に傾いた干渉縞で、応力に換算すると約90MPaの圧縮応力が内在されたガラスとなります。ガラスの区分では強化ガラスです。このようなガラスを外装に使用していると、たとえ飛散防止のフィルムを貼っていたとしても、割れたときには粉々になり、フィルムを貼った面全体が落下することもあるので非常に危険です。
通常強度のフロートガラスでは、<B>の写真のように傾きがほとんどない干渉縞が観察されます。この程度の干渉縞の傾きの場合、約8MPaの圧縮応力が内在されていると推定されます。
強度的に<A>と<B>の中間である倍強度ガラスを観察すると、<C>の写真のような干渉縞になります。干渉縞の角度も、強化ガラスと通常フロートガラスの間くらいの傾きになっていることがわかります。このようにガラス強度によって干渉縞の角度は変化します。
<A>強化ガラスの干渉縞
<A>強化ガラスの干渉縞
<B>フロートガラスの干渉縞
<B>フロートガラスの干渉縞
<C>倍強度ガラスの干渉縞
<C>倍強度ガラスの干渉縞
Page Top arrow_upward