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ジャストコラム

悩ましき業界用語たち

縁あって20年近く建築に関わる仕事をしている。

特に建築に関する勉強をしたわけでもなく業界に飛び込んだ私は、話の中に出てくる言葉に困惑することになった。

建築では色んなところに業界でしか通じない名前があり、ちょっと大袈裟に言えば言葉の壁にぶつかった。

鉄骨溶接部、鉄筋継手部の検査員から始め、現在は大きな構造物の調査診断から、小さなカケラの成分分析まで、幅広い相談を受ける営業窓口をやらせてもらっている。

そんな中で出会った、印象に残っているものをいくつかを紹介しようと思う。

 

『ラーメン』

多くの人はどんぶりに入ったアレを思い浮かべると思われる。

業界では柱と梁を一体化させ、柱と梁で建物を保たせる構造のことである。

ドイツ語で『枠』を意味する言葉(Rahmen)で、確かに出来上がりは枠の組み合わせになる。

初めて聞いた時は柱梁接合部全体を指して「そこのラーメンになってるところ」と言われたため意味が分からなかった言葉である。

『まんじゅう』

多くの人は甘い餡の入ったアレを思い浮かべると思われる。

業界では鉄骨柱を立てる時に、高さレベルを調整するためのモルタルの塊である。

円形に施工されることが多く、単純に形が似ているというのが名前の由来らしい。

初めて聞いた時のことはよく覚えていない。

『いも・あんこ』

これはジャガイモ派とサツマイモ派、こしあん派とつぶあん派に分かれそうだ。

鉄筋業界では隣り合う鉄筋の継手が同じ位置にあることを「いも」ずらして配置されていることを「あんこ」という。

一般的にはあんこが正しい状態である。

名前の由来は昔も今もさっぱり分からない。

初めて聞いたのは某新築現場にて「そこイモになってるぞ!」と職人さんに教えてもらったときである。分かるわけがない。

『ねこ』

多くの人は四足歩行の某愛玩動物を思い浮かべると思われる。

業界では手押しでものを運ぶ一輪車のことである。

『ねこ車』とも呼ばれるらしい。

名前の由来は昔も今もさっぱり分からない。

初めて聞いた時のことはよく覚えていない。

『サイコロ』

多くの人は立方体の各面に1~6個の点が打たれたものを思い浮かべると思われる。

鉄骨業界では角形鋼管を使った柱の製作過程で、序盤の組立で出来る部品のことである。

名前の由来は恐らく形が似ているから。

初めて聞いた時は「あっちにサイコロあるから見て!」と頼まれたときだったと思う。

わけもわからずとりあえず“あっち”に行くとなるほど、サイコロっぽいのが重なっていた。

因みに全く同じものを『タイコ』と呼ぶ人もいる。

他にも印象深いものはまだまだあるが、ここでは他の意味があるものでまとめてみた。

業界では一般的に使われているが、他ではほとんど使われることが無い言葉が数多く存在し、こちらの方が圧倒的に多い。

さらに新しい材料や工法も次々出てくる。その都度言葉も増える。

全くもって悩ましい限りである。

次はどんな言葉が私を悩ませてくれるのか、とても楽しみである。

 

おまけ

子供のころから頻繁に見ているけど名前を知らないもの。(※我が家調べ)

正解は左から、グレーチング、エキスパンドメタル、チェッカープレートまたは縞鋼板である。

おおむね『側溝のふた』で通じる。

 

営業第二部 土谷 史生